【読書メモ】「対面力」をつけろ!
様々な背景の生徒が、通信制高校にやってきます。
対人関係に不安があり前籍校や中学校でつまずいてこちらへ…
といったケースが少なくありません。
そういった生徒に共通するのが一言で言えばコミュニケーション下手です。
それは対友人、対教員、対親と対象は問いません。
(同世代の人とだけ困難を覚える生徒も中にはいますが…)
授業内の活動や、レクリエーション、個別面談などの場面で
それを少しでも上手にできるヒントを求めて手にとったのがこの書籍です。
面と向かってのコミュニケーション能力を対面力と定義し
対面力が低い背景や、その伸ばし方や、考え方などがテンポよく記されています。
ページを進めれば生徒だけでなく自分もできていない部分もあり
自身の対人態度を見直すきっかけにもなりました。
知っている人とだけ、親しい人とだけ交流することがいいことのように思って育ってしまうと、新しい出会いや人との対面が怖くなったり疲れたりするのも無理からぬ話
現代人の生活は、よくいえば便利だが、人と交わらなくても事足りてしまうことが増えている。その結果が対人体力の劣化につながってしまっている。
反応しないことに慣れてしまうと、次第に「打っても響かないからだ」になっていく。 彼らも、おそらくメールやSNSでは友だちや仲間に「即レス」している。指先と頭を使ったすばやいレスポンスはできる。だが、人の話を聞いて手を挙げるとか拍手する、笑うといった反応力は 鈍っている。
授業をしていても反応が薄いのです。中にはうなづいてくれたり笑ってくれたりする生徒もいますが、ずーと仏頂山。生徒だけでなくて、先生達の研修に参加しても頷きもしなければ顔すら見ない方も多かったりします。
企業が採用選考で重視する項目第一位は「コミュニケーション能力」だそうです。そういった能力がないと組織や社会でやってけないということですね。そんな力を涵養していくのも授業の役割なのではないでしょうか。そしてその能力の一つが対面力なのだと思います。
「目を見る」「微笑む」「うなずく」「相づちを打つ」 ──この四つは対面における基本中の基本リアクション
目を合わせる行為に苦手意識があるなら、片目に絞って見るようにしたらいい。 相手の右目に焦点を当て、「1、2」と数える二秒くらい見る。
オウム返しは共感の第一歩
適切なオウム返しは、相手の話をきちんと聞くことが大前提だ。そして感情に寄り添う 気持ちで、返すのがコツだ。
明示的に教え、教員が身を持って彼らに示して行かねばなりません。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。
有名な言葉ですね。
対面力以外でも自分にとっては気づきが多かった書籍でした。人を相手にする職業の方は一読の価値が大いにあると思います。
- 準備のうえでのノープラン──即応力には小ネタが必要
- 会話で人を楽しませるという感覚が乏しいので、そういう小ネタをストックしようと思わない人が多い。
- 失敗や挫折の話のほうがみんな興味を持って聞きたがる。ただし、失敗・挫折などの負の経験談は、けっして愚痴っぽく話してはいけない
- ふだん見聞きしていることを「これは使えそうか」「自分ならどうアウトプットするか」の視点を持ってストックする
- 人はどんなに背伸びをしようとしたところで、 自分の体験や自分の考えに根ざしたこと以上の話はできない